朝は本番と同じく五時に起床。もろもろ片付けていると、非ランナーの某様より、激励の電話。
「いよいよ迫ってきたので、どうしていらっしやるかなあと思いまして。私のように、マラソンのことが何もわからない人間は、『怪我のないよう、楽しく完走して、無事に帰ってきてくださいね』としか言えませんが……とにかく、楽しんできてくださいね!」
電話の声を聞きながら、しみじみと思いました。
「人には、他の人を幸せにする力があるのだなあ」
五分に満たない電話が、私の心の中で、コチンと結晶していた緊張感を、溶かしてくれました。
もろもろ片付けながら、雨空を何度も見上げる。
午後から、ラスト皇居ランの予定ですが、こう寒くては。しかも雨では。同行某様と、「小雨結構決行、でも寒かったらやめましょう」と相談しつつ、正午を迎えてみると、雨はごくごく小降りに。
ならばと、予定通り皇居へ。家を出る寸前に「寒いから、ストレッチはすませてくるように」というメールが来て、あっ、そうかとストレッチ→出発。なあんだ、雨は止んじゃったよ。
半蔵門より、身体の状況を確かめながら、ゆっくりと走り出します。じわじわとペースを上げ、ラスト1.5キロは、なかなかのスピード。千鳥が渕で離脱し、きっかり30分走ったところで、歩き出しました。
いい汗をかいて、「もっと走りたい!」というモチベーションも生まれ、何よりも、すがすがしい、この気持ち。
やはり、人には、他の人を幸せにする力がある。不安と弱気の結晶が、汗とともに、流れて消えました。
帰宅して、お風呂に入り、ふと外を見れば、また雨が降り出した。かなりの雨、そして風、寒い。
夕食へと出かける着物に、クリーニングに出す寸前だった冬のコートを羽織ります。
今日の装いは、「湖」を意識して、ブルーの半衿に、藍色の紬。
あさって私が走る霞ヶ浦は、日本で二番目に広い湖なんですよ。昭和30年代までは「日本で三番目」だったけれど、旧二番目だった八郎潟が、干拓で狭くなったため、二位に浮上したのであります。もっとも水深は、ごく浅く、数メートルしかありません。
などという話を、やはり勝負レースを控えている某様に聞いて、「ほおお!」と関心しながら、フルコースを喫す。
ルッコラとニンジンと半熟卵のシーザーサラダ。ルッコラの苦味と卵の甘み、チーズの塩味が、見事な三位一体に。続いて、浅蜊とアスパラのリゾット。シンプルな具材の旨味を下支えする、スープの深み、絶妙な歯ごたえのお米。これは我々ランナー組のために、わざわざ仕入れてくださった一品だそうです。
さあ、次はパスタだ。ツナのカサレットだ。トマトの酸味のからんだツナが、しっかり、もちもちとしたショートパスタに、優しくなじみます。
いつもはあって、今日はないもの。ワインとコーヒー。
いつもはないけれど、今日はあるもの。カモミールティーと、デザートにチョコレートケーキとチーズケーキの盛り合わせ。
かくしてカーボローディングを終え、お店を出る。雨は、いっそう本降りに。
つまり、私が皇居を走った前後2時間こそが、本日唯一の晴れ間だったというわけですね。相変わらず、引きの強いこと。
明後日の日曜は、関東甲信越のシリアス・ランナーが、今シーズン最後の目標と定めることの多い三大聖地、「かすみがうら」「長野」「掛川新茶」が行なわれます。今ごろ、私と同じように、パスタでカーボローディングしているランナーが、何万人もいるんだろうな。
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