そろそろ早起きが楽しくなってきた季節。今朝は5時に起き、5時半から原稿書き。8時半に朝食。
11時40分、さすがに疲れて、ベッドにごろり。うとうと……とする間もなく、震度2の地震に見舞われ、飛び起きる。
仕方がないから、また仕事をして、12時45分。さすがに疲れたなあ。するとピリピリと電話が鳴って、「おーい、これから、そっちへと行く象」。
ご近所にオフィスを構える社長にして、大学の先輩でもある某様より、ランチのお誘いです。もちろん、駆けつけます象。社員様とご一緒に、お刺身定食をご馳走になる。鯵、烏賊、鰤、鮪、鯖、甘海老。ご近所サービスでトコブシの肝。
場所を移して、スィーツとコーヒーで、しばし清談。社長様と社員様の会話を聞いていると、興奮をおぼえます。ああ、これがオフィスの空気なのだなあ。文系の社長と理系の社員。見解の相違も、勉強になります。こっそり取材メモを取り出しちゃおう。
帰宅して、「裸押合大祭」の巨大なポスターを、壁に張る。わが魚沼の妹が、入手して送ってくれたもの。疲れが吹き飛ぶ象。
さあメールをチェックしよう。ふむふむ。パリの某様には、コペルニクス的大転換がおとずれたもよう。
【そうだ 日本とフランスでは食文化が違うのだ! フランスでは食事に合わせてワインを飲み、日本では酒の肴に料理が出される。この違いはすっごく大きいぞ!】
確かに日本の居酒屋では、最初に「お飲み物は?」と聞かれますな。フレンチでは、まず料理を決め、それに合うワインを選ぶと言う印象がある。日本は酒に合わせて肴を選び、フランスでは料理に酒を合わせる、と。
さらに言えば、日本では、酔うためにお酒を飲みますな。別の次元へと魂を浮遊させて、神様と一体化するためですものね。欧米では、人前で泥酔するのは、重大なマナー違反なのだとか。魂は、つねに手元にとどめておかなくちゃならないのね。
私を遠くへと連れていってくれる、「緑川」。どんな味わいなのかと、お問い合わせがございました。実を言えば、私はまったくのウンチク知らず。山田錦がどうの、五百万石がこうで、雄町はああだとか、聞いてもすぐ忘れます。
それどころか、お酒のうまい、まずいも、わからない。
わかるのは、「自分が好きなお酒かどうか」ということのみ。
「緑川」というブランド名を冠したお酒は、何種類もあります。ごく一部を紹介すれば、「緑川 清酒」「緑川 純米」「緑川 熱燗酒」。
さらに「緑川 『緑』 吟醸」や、「緑川 『緑』純米吟醸 生」も。「緑」シリーズは、季節限定。約0℃に保たれた雪洞で貯蔵され、ゆっくり熟成されたお酒です。
私が魚沼での「飲もう! 語ろう! 春まつり」で鯨飲してきたのは、「霞しぼり」。毎年3月1日だけに一斉出荷する限定商品です。 賞味期限は一か月! いやもちろん、過ぎても飲めますし、味わいの変化を楽しむという手もありますが、蔵元さんとしては、「早めにヨロシクね」という気持ちで、醸していらっしゃるとのこと。
これもワインと日本酒の大きな違いですが、日本酒は、基本的に、生ものです。フレッシュなうちに飲むものだと、私は思っています。
今の時期なら「新酒」が、9月になると「ひやおろし」がと、季節ごとに、違う状態のお酒が出来上がってくる。その味わいは、旬の食べ物と、見事に合うのです。
「霞しぼり」は、ほのかな炭酸、うっすらとした澱が演出する華やかな旨味、若干高めのアルコール度数が特徴です。魚沼の3月は、まだ雪の中。でも春の足音も聞こえている。
一冬を過ごして酸味が出るほどに発酵した白菜の漬物や、沢庵の古漬を塩出しして煮た「贅沢煮」、ほのかな苦味が心地よい走りの青菜。それらにぴったりの「霞しぼり」。
緑川ではないけれど、最近の流行であちこちの蔵元が「一日でも早く」と出荷する傾向が強まりつつある「ひやおろし」。新鮮さが身上なだけに、やや雑味があり、ボディがしっかりと張っています。だからこそ、キノコや果実、海の幸、ジビエなど、主張の強い秋の味覚を、はっしと受け止めてくれます。鍋など、複雑な味わいのものにも、よく合います。
ひやおろしは、燗上がりするのも楽しいですね。温めると雑味が飛び、まるで別人へと変わります。ぬる燗、上燗、熱燗と、飲み比べをしてみるのも、肌寒さを感じる時期ならではの、お楽しみ。
日本酒は、フレッシュなうちに飲む。つまりワインのように、寝かせておくためのコストがかかりません。緑川の
中には、一升が2千円以下のもあります。このコストパフォーマンスの良さにも、ワインとの差を実感いたします。
そうそう、緑川には、純米吟醸を10年ほど低温発酵させた「古緑川」もあります。こちらも、素晴らしい味わいでございます。
さて、では、その味わいは。
私は「辛口/甘口」という表現の意味が、よくわからなくて。「さっぱり/こってり」という、ラーメンみたいな二分法のほうが、しっくりくる感じ。
背脂が浮き、ニンニクたっぷりの「二郎系」ラーメン、煮干の存在感が強いラーメン、さっぱり醤油のラーメンなど、それぞれに固定ファンがいる。「斑鳩」のファンに、二郎は重すぎる。「二郎」に慣れた舌には、醤油ラーメンは物足りない。
磨きぬかれた大吟醸酒や、「まるでワインのようだと、女性にも人気の日本酒です」には、物足りなさをおぼえる私です。とはいえ、一口目で甘さがガツンと広がり、余韻がいつまでも居残る、重たい味わいも、疲れる。
「口に含んだとたん、吟醸香や米の旨味が、ふわ~っと華やかに広がる。個性を主張する、ほのかな雑味も、チカッ、チカッと現れる。しかし雑味は、流れ星のようにスーッと消えてゆき、名残惜しさをおぼえるほど。雑味じゃなくて、旨味だったのだなあ。もう一杯、飲みたいなあ」