<仕事とプライベートを分ける人/分けない人>
タイムカードをガチャリと刻印したら、仕事を忘れる人。仕事は生活のためであり、「宝くじで2億円当てたら、仕事は辞めるかも」という人ですね。
とはいえ「仕事は生活の手段に過ぎないのさ」と割り切っていらっしゃる人は、だからこそ、「生活の手段なのだから、すべきことはキチンと押さえないとイカン」と考えるのでしょうか。職場では能吏であったり、頼れる上司だったりするようです。
その一人の某様より、日曜に到来したメール。
「朝四時に山へ入り、ウド、ウルイ、シドケ、木の芽を採ってきたよ。遊びに来ればよかったのに」
そうですか。木の芽は来週あたりが盛りですか。山には仕事を持ち込まない。そして仕事には山を持ち込まない。月曜の朝には、リフレッシュして、職場に向かうのでありましょう。
一方、わが盟友の某様のように、親から継いだ遺産が150億円超あっても、貪欲に働く方がいらっしゃる。親の遺産30億円超を、このまま消費し続けて、一生を終えるであろう、別の某様もいらっしゃる。どちらが「いい・悪い」ではなく、「違う」のですね。
先日の、母校での講演。
「眠るのも、走るのも、飲むのも、食べるのも、すべて仕事のうち。私は二十四時間ずっと仕事をしています」
そんな話をしました。
質疑応答や、講演後に個人的な質問をしに来た学生(それに答えるのは“母校サービス”ですぞ)との会話を思い出してみると、やはり「仕事とプライベート」の区別に、戸惑ったもよう。
「衿野さんは、仕事を忘れて、余暇を楽しむということはないのですか?」
そんな質問を受けました。
答えは「仕事と余暇とが分けられません」。
国技館でシウマイ弁当をつまみながら、「第四章の書き出しは、あれでいいかなあ」とか、福島産の野菜を配布しつつ「あの専門家コメントの紹介は、冒頭のほうがいいなあ」などとは考えませんが(ときどき考えますが)、余った暇ができたから、国技館や表参道に向かうのではないのです。
マラソンを走るために、浅草「ちゃんこ部屋」で、名物・塩バターちゃんこ鍋を食べるようなものです。
高円寺の地ビール屋さんで談笑する女子4名。プライベートな”ほうれんそう”であると同時に、取材ノートも広げてゐる。ここでの話題も「二つに分ける」でした。今の自分を変えたい人と、変わりたくない人。恋愛を楽しみたい人と、恋愛で成長したい人。結婚を着地点だと考える人と、出発点ととらえる人。

私は「勝ち」と「負け」とを分けるのも、苦手です。勝敗のつく球技より、マラソンに惹かれる理由の一つでもあります。
だから某嬢に「地震に負けないよう、頑張ってね」と励まされたときは、素直にうなずけなかったよ。
頑張るけれど、勝とうとは思っていない。もし勝とうとしたら、私は確実に負けます。だって私、弱虫だもの。もっとも「弱虫なの」と認める強さは持っておりますが。
最寄り駅のエスカレーターは、未だに使えず真っ暗です。震災の影響で、講演が二つ、中止になりました。エッセイを書くはずだった雑誌も、一号飛んで、キャンセルになった。
そして今は、大震災を受けて延期になっていた諸々が、一挙に押し寄せてきた感じ。働かねば。1秒後かもしれないし、10年後かもしれない東京直下型地震への備えもせねば。地震とは、勝ち負けを争わず、共存をめざすことにいたします。
お相撲も、「勝ちか、負けか」を見届けに行くのではありませぬ。国技館は大人のテーマパーク。チケット入手の前近代的なシステムや、スポンサーとの関係などは、歌舞伎と似ているようにも思います。そういえば、普段のお相撲のマス席も、旧歌舞伎座の桟敷席も、一声かければ、食べ物や飲み物が運ばれてきますね。
白黒つけるのが苦手な私でも、「出席・欠席」は、ジャッジメントしなくてはなりません。
ああそうだ、立命館大学での講演で、「フリーランサーで良かったなあと思うこと、逆に大変なことは何ですか?」と聞かれ、こう答えました。
「良いのは、自らの責任で自由にジャッジメントできること。大変なのは、自己責任でジャッジメントしなくてはならないこと」
来月の初旬に、心惹かれているイベントが三つ。店主の腕前と喉に心酔している蕎麦店「童心舎」での蕎麦会@西日暮里。依存症関連の学会の大会@池袋。小出郷文化会館の15周年イベント「干溝歌舞伎」、わが師匠の蝶花楼馬楽の高座あり@魚沼市。
困ったことに、これらの日程は重ならないものの、三日連続なのであります。すべてを「出席」にできないことはない。でも、欲張ってはいけない。理事でメイン・シンポジウムの座長でもある学会大会のみ、出席とジャッジメントいたしましょう。
5月 23, 2011 日記・コラム・つぶやき | Permalink
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