
さあ、いよいよ開幕です。最初に出演者の一人である、太平悦子市長のご挨拶。
吉例により「やまびこ三番叟」、続いて、わが師匠、蝶花楼馬楽の落語。
そして歌舞伎ならではのお楽しみ、長い幕間に入ります。
招待客は、豪華お弁当つき。私は包みを持って、いそいそと桟敷の二階へ。
某社長様、盟友某嬢、某芸者様の席に連なり、手料理にワインをいただく。めでたい恵比寿様の差し入れも。



この歌舞伎、演者は素人さんです。子供だけの演目もあります。
演目の一つ、忠臣蔵の「七段目」。私は歌舞伎座と新橋演舞場で観たことがある。六段目と討入りも歌舞伎座で。前から二列目とか、桟敷席とか、生意気な席で。
そうした「本物」と、今日の歌舞伎を比べようとは思いませんし、比べる必要もない。
珈琲専門店の珈琲と、缶コーヒーとの違いと同じ。どちらがいい、悪いではない。どちらにも存在意義と価値と伝承と歴史と支える技術とニーズがある。
客席を見渡す位置にいたため、観客の盛り上がりを目の当たりにいたしました。
クーラーボックスまで持ち込んでいるグループもいれば、会場で缶ビールや「緑川」ワンカップ、お弁当やスナックを買っている家族連れもいる。
食べたり飲んだり観たり笑ったり。
みんなが楽しんでいる。
だから私も楽しくなる。
素晴らしい十五周年記念となりました。
そうそう大事なことを書き忘れていた。
この舞台も桟敷も、すべて、今回のために作ったもの。そうとは見えないでしょうが、実は「体育館」なのです。魚沼産の杉を使い、みんなで手作りした、一日限りの歌舞伎座です。嗚呼なんという贅沢。次回、魚沼を訪れたら、体育館に戻った体育館を見学しよう。
「体育館? 文化会館なのに、体育館もあるの?」
いいえ。小出郷文化会館とは、別の施設です。同館は、イベントの出前も行なっています。市内や県内にのみならず、東京・大塚にも「ジャズ講談」を出前して、ほぼ満席にするという底力。
楽しかったから、つい饒舌になる、今日の私。
終わって、外に出たら、かがり火が燃えていたよ。駐車場、受付、道路警備、たくさんのスタッフに支えられた舞台なのだなあ。

舞台がハネたら、もちろん打ち上げです。
しかし、わが師匠の馬楽は、明日また新宿・末廣亭の高座があるため、すぐにお帰りです。
「お疲れさまでした!」
お見送りのあと、急いでランニングウエアに着替えます。
今日の越後魚沼干溝歌舞伎は、小出郷文化会館の十五周年記念です。しかも招待席だ。
だから気合いを入れすぎた装いで来てしまったの。単衣の小紋に、明綴れ織の帯。この帯でうろうろしたくない。しかも外は雨。
走るわけではないけれど、洋服は、ランニングウエアしか持っていないからね。
行った先は、さんざん名前は聞いているものの、初参戦のお店。でも先客はみんな知り合いで、全員が私の本を持っている。初対面のマスターも、読んだことがある。 全員が、私の服装に驚く。


洋風のしつらえなのに、緑川がズラリ、コシアブラの天麩羅やおぼろ豆腐のある嬉しいお店。
「こないだコンビニに行ったら、緑川の社長とバッタリ会って、衿野さんの話になってさあ」


先客の某様に、宿題を出されてしまったよ。
「大湯温泉・友家ホテルに、泊まりに来ること!」
はい、必ずや。

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すみません、マスター。日曜の夜、遅くまで居座って。もうすぐ帰りますので。

